言の葉周遊(あきおの読書日記)

読んだ本、気になる言葉、詩を書いていきます


2020年よろしくお願いします。

<あきおの近況と独り言>

 昨年、1969年をテーマに書く機会がありました。当時ボクは16歳。半世紀という歳月が流れているのですね。「信じられない速さで 時は過ぎ去ると 知ってしまったら…」と、竹内まりやさんの歌詞を思い出します。
昨年はタイ、韓国、北海道と旅する機会がありました。

 江華島、ソウル
 昨年、7月に韓国は江華島、ソウル、仁川と旅しました。黄海につながる干潟が見たくて、一度は行きたいと思っていました。渡り鳥のシーズンにはたくさんの鳥の姿が見られるそうです。その一部は日本にも飛んでくるのでしょう。渡り鳥の姿を思いながら、地球の大きさを感じたかったのです。


食べ物も美味しかったこと。
 写真は数キロメートルの海峡を

挟んで見える朝鮮の村。この海をカモメが飛

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対岸に見える朝鮮の村

んでいました。
 江華島は日本が韓国に不平等条約の締結を求めたところです。これ以外に植民地時代の痕跡がたくさん残されています。
 日本は戦争末期、石油が不足したとき、松から航空機の燃料を抽出することを考えました。とんでもない発想ですが、その痕跡が江華島のお寺に残されていました。幹が大きくえぐられている松が、参道にたくさんあるのです。その松の横には、日帝時代の痕跡と、説明書きが添えられています。松から航空機燃料を作る、と言う飛んでもない発想は、僕は親から聞いたことがありました。すっかり忘れてしまっていたことです。傷つけられた松の痕跡は日本国内でも、まだわずかに残されていると言います。日本軍国主義の愚かさ。そういうものはしっかりと記憶に残さなければならないのに、残されていない日本を思います。
ソウルでは「戦争と女性の人権博物館」にも行きました。慰安婦とされた女性の人生を追体験するかのように、展示が続きます。多く日本人に行ってほしい場所だと思います。聞いていたこととはいえ、ショックだったのは、「突撃一番」と包装されたうコンドームを目の当たりにしたことでした。
日本の現代史を知りたければ、韓国へ。という思いを強くしました。
 

北海道
 8月に北海道へ旅しました。10年近く合っていない友人に会いたかったこと。それと、アイヌを少しでも知りたかったのです。
 昨年2月、ミナミナの会のみなさんのご協力で、アイヌの刺繍、工芸品、そして、踊りの催しをふうらでしました。それまで遠い存在だったアイヌ文化を間近に見て感じて、二風谷に行きたい、と思ったのです。
 二風谷はアイヌ民族で初めて国会議員になった萱野茂さんがお住まいになっていたところ。自らアイヌの伝統を伝えようと収集されていた博物館があります。手に触れるところにある数々の品それを前にして、萱野茂さんの人柄に心がほどけるようでした。
 北海道へは車で移動しました。初日の夜に、鹿が前を横切ったのには驚きました。そして、苫小牧周辺に点在する湿原や、日高山脈にまでつながる平原と山々を見ながら、ほんの150年前。「北海道開拓」として、木々が伐採され、アイヌの生活圏が狭められていった時代を思いました。
 そして腑に落ちたことは、大きい製紙会社がなぜ苫小牧にあるのか、ということでした。原生林が伐採されていったのです。それを運ぶために鉄路もひかれました。内地からの植民と開墾。アイヌはどんどん追いやられていったのでしょう。私たちが習うのは、屯田兵などの支配の歴史。見えないことを、見ようとしなければ、歴史はわからない、と思います。
 縄文の昔から、自然の恵みを糧にしてきたアイヌ文化が、ほんの150年前の怒濤のような近代化によって滅ぼされた。そして、アイヌから倭への同化政策で、習俗の変更だけでなく、アイヌ語の禁止、アイヌ名前からやまと名前への変更などを伴いました。その同化政策は、その後、沖縄へ、そして、朝鮮へ、同じ方針が貫かれたのだと感じるのです。
 明治維新という近代化と国家神道は、日本列島に息づいていた、多くのものをうち捨て、ねつ造していった歴史ではないか、という思いを強くしています。

 昨年は2月にはタイ・チェンマイに住む親戚宅に滞在しました。野焼きのシーズンで、大気汚染がひどいことに驚きました。30年前の訪問の時は、自転車三輪車が多く走っていましたが、自動車に変わっていました。大気汚染はそのせいもあるのかもしれません。タイの話はまたの機会に。

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チェンマイのお寺で



 チェンマイのお寺
 犬も寝そべっていました

 


原発のこと などなど

 原発事業者が金をばらまいて、地元を抱え込もうとしている、というのは知っていました。とても大きなお金が動いていることも知っていました。そのお金が、関西電力の幹部に「還流」していたことには驚きました。その金額は三億二千万円以上。
一億円というと生涯賃金にも匹敵するような金額です。この構造が二十年近く繰り返されていたというのです。電気料金の中に私腹を肥やすような金まで組み入れられて徴収されていたのです。電気料金が払えなくて、電気を止められた困窮者もいたのに。
 この不正還流のことには、告発者が募られ、大阪地検に3272人が告発人に名前を連ねています。私も入っています。
 
 福島原発事故がなかったことのように、聖火が走り、オリンピックが行われ、その影で避難者が切り捨てられています。
 都合の悪いことはなかったことにする、という政治は変えなければいけないと思います。

 アベ政権を支える人たちは、歴史を見ようとしない。その中に、日本はアジアで一番だという意識と、韓国、朝鮮は日本より下だという気持ちがあるように思えます。昨年、7月参議院選挙前に突然発表された、韓国への輸出制限。ごろつきメディアが嫌韓を騒ぎ立てる。マスメディアも嘲笑するような特集を組む。それを見る日本人がいる。
 学校や地域で、韓国朝鮮にルーツを持つ人たちがどういう思いで暮らしているのか。メディアに関わる人たち、テレビを見ている人たちは、想像しただろうか。民団の幹部に「息を潜めて暮らしている」と言わせるような状態。こういう空気の中で、日本でガイドをしていた友人の韓国人が、日本を去ってしまいました。残念です。
 ここ数年、友人の李東石さんががソウルで学生生活をしていることもあって、韓国へ行く機会が多いです。以前にも書きましたが、日本と韓国の最も大きな違いは、国家が「国家の犯罪」に向きあってこなかった日本と、韓国の違いだと思っています。韓国は軍事独裁政権下で犠牲になった人々に、謝罪し、償いをしています。それが国家の当然の責務のようになっています。ある社会学者が語っていたことを思い出します。「軍国主義下の治安維持法などの犠牲者に、日本は自国民にさえ、謝罪も賠償もしてこなかった。」と。
 民主化を原点にする韓国と1945年の日本の成り立ちの違いを感じるのです。

詩のこと
 「詩のいろり」という読書会をしています。2ヶ月に1回、今年は第4日曜日に開く予定です。読書会がこんない楽しいとは知りませんでした。詩ならではのいろんな感想や解釈が出されます。いつもあっという間の3時間です。詩集もできる予定です。

2020年1月8日
大阪市東成区深江北3-4-11 スペースふうら
   畑章夫  滝沢厚子
メールアドレス        ffura@ac.auone-net.jp
年初、1月5日、93歳の義母をこの世を去りました。病気で苦しむ期間も短く、天寿を全うされたという思いで見送りしました。


 本年もよろしくお願いいたします。

2020年1月8日